吉行和子さん逝去――90年の「やわらかな強さ」をたどる - 芸能情報エクスプレス

吉行和子さん逝去――90年の「やわらかな強さ」をたどる

米画像生成:AI(ChatGPT / DALL·E 3)– パブリックドメイン(CC0-1.0)
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女優・エッセイストの吉行和子さんが2025年9月2日未明、肺炎のため逝去されました。享年90。訃報は所属事務所テアトル・ド・ポッシュが9月8日に公式サイトで公表し、葬儀は近親者のみで執り行われたと伝えています。報道各社は9月9日に一斉に続報を掲載しました。t-poche.jpX (formerly Twitter)


訃報の概要(日時・原因・発表・葬儀)

  • 逝去日時:2025年9月2日(火)未明

  • 死因:肺炎

  • 発表:2025年9月8日(月)、所属事務所が公式サイトで公表

  • 葬儀:故人の遺志により近親者で執り行い、関係者・ファンへ謝意を表明

    上記はテレビ朝日系などの報道および事務所ページの情報に基づきます。X (formerly Twitter)t-poche.jp


家系と原点――文学と美の血脈に生まれて

吉行さんは1935年8月9日、東京生まれ。父は作家・吉行エイスケ、母は美容師でNHK連続テレビ小説『あぐり』のモデルとなった吉行あぐり。兄は作家の吉行淳之介、妹は詩人の吉行理恵という稀有な文化一家に育ちました。ウィキペディア


舞台デビュー――『アンネの日記』(1957)

女子学院高等学校から劇団民藝に進み、1957年の舞台『アンネの日記』で主役デビュー。ここから舞台・映画・テレビの三領域で長く第一線を歩みます。映画.com


映画での飛躍――『にあんちゃん』『愛の亡霊』『東京家族』

  • 『にあんちゃん』(1959):毎日映画コンクール助演女優賞に輝き、清新な存在感を印象づけました。ウィキペディア

  • 『愛の亡霊』(1978):大島渚監督作で、日本アカデミー賞 優秀主演女優賞。同作の耽美と虚無の間で揺れる妻像は代表作として今日まで語り継がれます。東スポWEB

  • 『東京家族』(2013):山田洋次監督作で日本アカデミー賞 優秀主演女優賞(第37回)。公式サイトの受賞リストにも名を刻みます。日本アカデミー賞公式サイト

  • そのほか:『御法度』『おくりびと』『佐賀のがばいばあちゃん』『家族はつらいよ』シリーズなど、多彩な年代・ジャンルで名作群を飾りました。映画.comウィキペディア+2ウィキペディア+2


テレビでの存在感――“お茶の間の温度”を上げる人

  • 『3年B組金八先生』:家庭科教師・池内友子役。主演の武田鉄矢さんは訃報当日に「大好きな先輩でした」と生放送で追悼の言葉を述べています。nikkansports.com

  • 『ふぞろいの林檎たち』:山田太一脚本の群像劇で、80年代以降のテレビドラマ黄金期を支えました。ウィキペディアallcinema

  • 連続テレビ小説『ごちそうさん』(2013):ヒロインの祖母・卯野トラ役に加え、語りも担当。画面の外からも物語の息遣いを支える語り口は唯一無二でした。ファミリー劇場 あなたのイチバン、きっと見つかる。+1


エッセイストとしての顔――言葉で寄り添う

1984年、エッセイ集『どこまで演れば気がすむの』で**日本エッセイスト・クラブ賞(第32回)**を受賞。役を生きる歓びと痛み、人生の襞をすくい上げる柔らかな筆致は、俳優という職能を越えて多くの読者を得ました。prizesworld.com新潮社


晩年も現役――2025年『晴れたらいいね』への出演

テレ東開局60周年特別企画ドラマスペシャル『晴れたらいいね』(主演:永野芽郁)に2025年1月の配信・3月の地上波放送で出演。人生の終盤までカメラ前に立ち続けた稀有な俳優でした。テレ東・BSテレ東TVO テレビ大阪 | デジタルは7チャンネル


公的な顕彰――NHK放送文化賞

2022年度(発表は2023年)第74回NHK放送文化賞を受賞。放送文化への長年の貢献が公式に刻まれました。ウィキペディア


“吉行和子らしさ”を言語化する

  1. 軽やかな強さ:悲嘆や矛盾を抱えた人物を、湿度を残しつつもどこか風通し良く演じ切る。

  2. 距離感の名手:相手役の呼吸をよく聴き、半歩引いた立ち位置から関係性を立ち上げる。

  3. 言葉の余白:エッセイでもセリフでも、言い切らない。読者・観客に「考える自由」を残す。


代表作クイック年表


関係者の言葉から

  • 武田鉄矢さん(生放送で速報受けて):「大好きな先輩でした」――『金八先生』での共演が、世代を超えて受け継がれる“教師像”の一部になったことを示す言葉です。nikkansports.com


作品の見方メモ(再鑑賞のヒント)


最晩年の現場で見えたもの

2025年の『晴れたらいいね』では、若い世代の中にしっかりと立ち、画面に“時間の奥行き”をもたらしました。高齢の俳優が「過去を語る」だけでなく、「現在を更新する」存在であり続けたこと、その事実こそが吉行さんの晩年の仕事の価値を証しています。テレ東・BSテレ東TVガイドWeb


まとめ――「柔らかく、揺るがない」

吉行和子という俳優は、激しさを声高に表明せず、やわらかさのまま強かった人でした。長いキャリアのどの場面にも、他者と世界に対する敬意がありました。私たちがその仕事を見つめ直すことは、どう生き、どう別れ、どう笑うかを考え直すことに重なります。心よりご冥福をお祈りいたします。


主要出典・参考

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